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テストステロンとAGAの因果関係|ホルモン量ではなく変換効率が招く薄毛のリスク

テストステロンとAGAの因果関係|ホルモン量ではなく変換効率が招く薄毛のリスク

多くの男性が抱く「男性ホルモンが多いと薄毛になる」という認識は、医学的には正確ではありません。

薄毛の進行を決定づけるのは、血液中を流れるテストステロンの総量ではなく、それを強力な脱毛因子であるジヒドロテストステロン(DHT)へと作り変える酵素の働きと、受容体の感度です。

本記事では、AGA(男性型脱毛症)の根本的な原因である「変換効率」に着目し、なぜホルモン量そのものよりも体質的な処理能力が髪の運命を左右するのか、その本質的な理由を詳しく解説します。

目次

AGAの本質的な原因となる物質の正体と役割

薄毛の原因を正しく理解するには、まずテストステロンとジヒドロテストステロン(DHT)という2つの物質が持つ役割の違いを明確に区別して捉える必要があります。

AGAは単に男性ホルモンが存在するから発症するのではなく、体内で起こる特定の化学反応によって生み出される悪玉物質が、ヘアサイクル(毛周期)を強制的に短縮させることで引き起こします。

ここでは、それぞれのホルモンが人体に与える影響と、なぜ一方だけが髪にとって脅威となるのかを解説します。

テストステロンが身体に果たす重要な機能

テストステロンは一般的に「男性らしさ」を象徴するホルモンとして知られていますが、その働きは筋肉や骨格の形成にとどまりません。

脳の認知機能の維持、意欲や決断力といった精神面の安定、さらには血管の健康維持に至るまで、男性の心身の健康を支えるために重要な役割を担っています。

したがって、テストステロン自体は決して悪者ではなく、むしろ健康的な生活を送る上で維持すべき有益な物質です。

興味深いことに、テストステロンの量が多いこと自体が直接的に薄毛を引き起こすわけではありません。

血液検査でテストステロン値が極めて高いアスリートやボディビルダーであっても、フサフサな髪を維持している人は大勢います。

この事実は、薄毛のリスクを測る上で「ホルモンの総量」を見るだけでは不十分であり、別の要因が深く関わっていることを示唆しています。

ジヒドロテストステロンへの変化が招く悲劇

髪にとって真の脅威となるのは、テストステロンそのものではなく、それが変化して生まれる「ジヒドロテストステロン(DHT)」という物質です。

DHTは胎児期においては男性外性器の発達に必要不可欠な役割を果たしますが、成人男性にとっては薄毛や前立腺肥大の原因となる厄介な存在へと変わります。

このDHTこそが、毛根にある毛乳頭細胞に取り込まれ、脱毛シグナルを発信することで髪の成長期を極端に短くしてしまう犯人です。

テストステロンがDHTに変化しなければ、AGAは進行しません。

つまり、問題の本質は「材料」であるテストステロンの量ではなく、それを「加工」してDHTにしてしまう体内工場の稼働率にあるといえます。

この加工プロセスを理解することが、AGA対策の第一歩となります。

ホルモン量と脱毛リスクが比例しない理由

多くの人が誤解している点ですが、血中のテストステロン濃度と頭皮のDHT濃度は必ずしも比例しません。

テストステロンがどれだけ豊富にあっても、それをDHTに変換する酵素の働きが弱ければ、生成されるDHTの量は少なくなり、薄毛のリスクは低く抑えられます。

逆に、テストステロンの量が平均的あるいは少なめであっても、変換酵素の活性が非常に高ければ、効率よくDHTが生成され、薄毛が進行してしまうのです。

この「変換効率」の違いこそが、個人差を生む最大の要因です。

ホルモン量という「絶対量」ではなく、体がそれをどう処理するかという「質」の部分に目を向けることで、AGAのリスクをより正確に評価できます。

ホルモンの役割比較

物質名主な役割・特徴髪への影響
テストステロン筋肉増強、骨密度維持、意欲向上、血管保護直接的な脱毛作用はない
ジヒドロテストステロン胎児期の性器形成、体毛増加、皮脂分泌促進ヘアサイクルを短縮させ薄毛を招く
インスリン様成長因子-1細胞の成長や分裂を促進、毛髪の成長を助けるDHTにより産生が抑制される
TGF-β細胞の増殖抑制、アポトーシス(細胞死)誘導DHTにより産生が増加し脱毛を促す

変換効率を決定づける5αリダクターゼの働き

テストステロンをDHTへと変える「変換効率」を左右しているのが、5αリダクターゼ(5α還元酵素)という酵素の存在です。

この酵素がどれだけ活発に働くかによって、作られるDHTの量が決まります。

AGAの発症と進行において、この酵素は司令塔のような役割を果たしており、その性質を知ることは対策を立てる上で極めて重要です。

ここでは、この酵素の種類や分布、そして遺伝との関係について詳しく見ていきます。

I型とII型の性質の違いと分布エリア

5αリダクターゼには「I型」と「II型」という2つの種類が存在し、それぞれ体内の異なる場所に分布しています。

I型は全身の皮脂腺に広く分布しており、脂性肌やニキビの発生などに関わっていますが、側頭部や後頭部の毛包にも多く存在します。

一方、II型は前頭部(生え際)や頭頂部の毛乳頭に集中的に存在しており、AGAの典型的な進行パターンであるM字ハゲやO字ハゲに深く関与しているのが特徴です。

特にII型の5αリダクターゼは、テストステロンとの結合力が強く、より効率的にDHTを生成してしまう性質を持っています。

そのため、AGA治療においては、このII型の働きをいかに制御するかが重要な戦略となります。

自分の薄毛がどの部位から始まっているかを確認することで、どちらの酵素がより強く影響しているかをある程度推測することができます。

酵素活性の強さと遺伝的要因

5αリダクターゼの活性度、つまり「どれだけ元気に働くか」は、遺伝によって大きく左右されます。

特に優性遺伝の傾向が強いため、両親のいずれか、あるいは祖父母に薄毛の人がいる場合、活性の高い5αリダクターゼを受け継いでいる可能性が高くなります。

この酵素活性が高い人は、たとえ健康的な生活を送っていても、体内で自動的に大量のDHTが生成されてしまうため、早期にAGAを発症するリスクが高まります。

しかし、遺伝だけで全てが決まるわけではありません。

酵素の活性は遺伝的なベースラインの上に、生活習慣や加齢などの要因が加わって変化します。

遺伝的な素因を持っていると自覚している人ほど、早期の対策が必要となるのはこのためです。

部位による影響の偏りが生む薄毛パターン

なぜ男性の薄毛は生え際や頭頂部に集中し、側頭部や後頭部の髪は残るのでしょうか。

これは、II型5αリダクターゼの分布が前頭部と頭頂部に偏っていること、そしてそれらの部位の毛包がDHTの影響を受けやすい性質を持っていることに起因します。

側頭部や後頭部はDHTの影響を受けにくいため、植毛手術のドナー(移植元)として利用されることが多いのです。

この「部位特異性」を理解すると、局所的な対策の重要性が見えてきます。

全体的なホルモンバランスを操作するのではなく、特定の部位で活発化している酵素を狙い撃ちにするアプローチが、副作用を抑えつつ効果を得るために求められます。

5αリダクターゼの種類別特徴

種類主な分布場所AGAへの関与度
I型全身の皮脂腺、側頭部、後頭部比較的弱い(脂性肌に関連)
II型前頭部(生え際)、頭頂部、髭極めて強い(典型的なAGAの原因)
酵素の特性テストステロンとの親和性が低いテストステロンとの親和性が高い
阻害薬の効果デュタステリドが抑制フィナステリド・デュタステリドが抑制

生成されたDHTを受け取る受容体の感受性

5αリダクターゼによって生成されたDHTは、それ単体で悪さをするわけではありません。

毛乳頭細胞内にある「アンドロゲン受容体(レセプター)」と結合することで初めて、脱毛因子(TGF-βなど)を放出するスイッチが入ります。

つまり、どれだけDHTが大量に発生しても、この受容体がDHTを受け取らなければ薄毛は進行しません。

ここでは、AGA発症の最終関門ともいえる受容体の感受性について解説します。

  • 受容体の役割と結合の仕組み
    アンドロゲン受容体は、やってきたホルモンをキャッチする「受け皿」のような役割を果たしています。DHTがこの受け皿にカチッとはまることで、細胞核内に信号が送られ、髪の成長を止める指令が出されます。この結合のしやすさを「感受性」と呼びます。
  • CAGリピート数と感受性の関係
    遺伝子レベルの話になりますが、アンドロゲン受容体遺伝子には「CAG」という塩基配列の繰り返し部分があります。この繰り返しの回数(リピート数)が少ないほど受容体の感受性が高く、DHTを敏感にキャッチしてしまうため、AGAになりやすいと判断します。逆にリピート数が多い人は、感受性が低く、薄毛になりにくい傾向があります。
  • 隔世遺伝の影響力
    アンドロゲン受容体の感受性に関わる遺伝子はX染色体上に存在します。男性のX染色体は必ず母親から受け継ぐため、母方の祖父が薄毛である場合、その体質を受け継いでいる可能性が高くなります。これが、薄毛が隔世遺伝するといわれる大きな理由の一つです。

筋力トレーニングと薄毛リスクの相関関係

「筋トレをするとハゲる」という噂を耳にしたことがある人は多いでしょう。

筋力トレーニングによってテストステロン値が上昇することは事実ですが、それが直ちに薄毛に結びつくかどうかは、これまで解説してきた「変換効率」と「受容体感受性」に依存します。

トレーニングと髪の健康の関係を正しく理解し、過度な不安を取り除くことが大切です。

ここでは、運動がホルモンバランスと髪に与える影響を整理します。

一時的なホルモン上昇と慢性的影響の区別

高強度の筋力トレーニングを行うと、直後に血中のテストステロン濃度は一時的に上昇します。

しかし、これはあくまで短期的な生理反応であり、一日中高い数値を維持し続けるわけではありません。

また、前述の通り、テストステロンが増えたからといって、5αリダクターゼの量や活性が比例して急増するわけでもありません。

したがって、筋トレ自体が直接的な薄毛の原因になるとは考えにくいのが現状です。

むしろ、運動不足による血行不良やストレス蓄積の方が、髪にとってはマイナス要因となり得ます。

適度な運動は全身の血流を改善し、頭皮への栄養供給を助けるため、育毛環境にとってはプラスに働く側面も大きいのです。

プロテインやサプリメント摂取の影響

筋トレのお供であるプロテイン自体には、薄毛を誘発する成分は含まれていません。

髪の主成分はケラチンというタンパク質であり、良質なタンパク質を摂取することは髪の成長にとって有益です。

ただし、海外製のサプリメントの中には、テストステロンの前駆体やホルモン作用を増強する成分が含まれている場合があり、これらは間接的にDHTレベルに影響を与える可能性があります。

成分表示を確認し、信頼できる製品を選ぶことが大切です。

生活習慣としての運動のメリット

運動は、成長ホルモンの分泌を促し、細胞の修復や再生を助けます。

また、ストレス解消効果によって自律神経のバランスを整え、過剰な皮脂分泌や血管収縮を防ぐ効果も期待できます。

AGAのリスクを恐れて運動を避けるよりも、運動を習慣化しつつ、適切なAGA治療を並行して行うほうが、トータルでの健康と髪の維持には効果的です。

運動習慣と頭皮環境への影響

要因一般的な影響注意点
高強度トレーニングテストステロンの一時的上昇遺伝的素因がなければ過度な心配は不要
有酸素運動血行促進、ストレス低減長時間行いすぎると活性酸素が増える可能性
プロテイン摂取毛髪の材料となるタンパク質供給動物性脂肪の摂りすぎに注意する
発汗頭皮の老廃物排出、体温調節放置すると雑菌繁殖の原因になるため洗浄が必要

自身のリスクを正確に把握する検査手法

自分が「ホルモン量が多いタイプ」なのか、それとも「変換効率が良い(悪い意味で)タイプ」なのか、あるいは「受容体が敏感なタイプ」なのかを知ることは、無駄のない対策を行う上で非常に有益です。

現代医学では、これらのリスクを客観的な数値として可視化する検査方法が確立されています。

ここでは、医療機関で受けることができる主な検査とその有用性について解説します。

AGA遺伝子検査でわかること

AGA遺伝子検査は、主にアンドロゲン受容体の感受性(CAGリピート数)を調べるものです。

これにより、将来的に薄毛になるリスクがどの程度あるのか、また、フィナステリドなどの5αリダクターゼ阻害薬が効きやすい体質かどうかが予測できます。

口の中の粘膜を採取するだけの簡単な検査で済むため、薄毛が気になり始めた段階で一度受けておくと、将来の対策方針が立てやすくなります。

血液検査によるホルモン値の測定

血液検査では、血中のテストステロン値やDHT値を直接測定することが可能です。

ただし、血中のDHT濃度と頭皮局所のDHT濃度は必ずしも一致しないことには留意が必要です。

それでも、全体的なホルモンバランスや、肝機能、腎機能などの健康状態を把握することは、安全に薬物治療を行うための基礎データとして重要です。

特に治療薬を服用する前後での数値の変化を追うことで、薬の効果や副作用のリスクを管理します。

毛髪ホルモン量測定キットの活用

最近では、数本の髪の毛を採取して送るだけで、髪の毛に含まれるDHT量を測定できるキットも登場しています。

これは、過去数ヶ月間に髪がどれだけDHTにさらされていたかを知る指標となります。

血液検査よりも、より直接的に毛根周辺の環境を反映している可能性があるため、自分自身の「変換効率」の結果としてのリスクを知る一つの手段として注目されています。

主な検査方法と得られる情報

検査名主な測定対象わかること・メリット
AGA遺伝子検査アンドロゲン受容体遺伝子(CAGリピート)AGA発症リスクの高さ、薬の効きやすさ
血液検査テストステロン、PSA、肝機能など全身の健康状態、投薬の安全性確認
毛髪ミネラル検査ミネラルバランス、有害金属栄養状態の不足や偏りの把握
マイクロスコープ診断頭皮の状態、毛髪の太さ・密度現在の薄毛の進行度、軟毛化の有無

変換効率に着目した科学的な治療アプローチ

ここまで見てきたように、AGAの原因が「テストステロンのDHTへの変換」にあるならば、治療の核心はこの変換プロセスを遮断することにあります。

精神論や民間療法ではなく、医学的根拠に基づいたアプローチを選択することが、髪を守るための近道です。

ここでは、現在標準治療として確立されている薬理作用の仕組みについて解説します。

  • フィナステリドの作用機序
    フィナステリドは、主にII型の5αリダクターゼを選択的に阻害する成分です。前頭部や頭頂部に多く存在するII型酵素の働きを抑えることで、テストステロンがDHTに変わるのを防ぎます。世界中で広く使用されており、AGA治療の第一選択肢として多くの実績があります。
  • デュタステリドの特徴と強み
    デュタステリドは、I型とII型の両方の5αリダクターゼを阻害する作用を持っています。フィナステリドよりも広範囲かつ強力にDHTの生成を抑制するため、フィナステリドで十分な効果が得られなかった場合や、より強力な効果を求める場合に選択されます。また、半減期が長く、血中濃度が安定しやすいという特徴もあります。
  • 副作用リスクの管理
    酵素を阻害することでDHTが減ると、性欲減退や勃起不全などの副作用が現れる可能性がわずかながら存在します。しかし、医師の管理下で適切な用量を守れば、多くの場合は安全に使用できます。違和感を覚えた際にすぐに相談できる医療機関を選ぶことが大切です。

ホルモンバランスを整える生活習慣の工夫

薬による治療が最も効果的であることは間違いありませんが、日々の生活習慣がホルモンバランスや酵素の働きに影響を与えることも忘れてはいけません。

身体の内側から環境を整えることで、治療効果を底上げし、健康的な髪を育む土台を作ることができます。

ここでは、食事、睡眠、ストレス管理の観点から、変換効率やホルモン環境に良い影響を与える習慣を紹介します。

亜鉛とビタミンB6の積極的な摂取

亜鉛は髪の生成に必要なミネラルであると同時に、5αリダクターゼの働きを抑制する作用があるともいわれています。

また、ビタミンB6はタンパク質の代謝を助け、亜鉛の吸収を高める働きがあります。

牡蠣、レバー、ナッツ類などをバランスよく食事に取り入れ、必要に応じてサプリメントで補うことは、髪にとって有益な投資となります。

睡眠の質と成長ホルモンの関係

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、髪の毛母細胞の分裂を促し、日中に受けたダメージを修復する働きがあります。

また、質の良い睡眠は自律神経を整え、過剰なストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を抑えます。

コルチゾールが増えすぎるとホルモンバランスが乱れ、頭皮環境の悪化を招くため、規則正しい睡眠習慣はAGA対策の基礎となります。

ストレスコントロールの重要性

強いストレスを感じると、血管が収縮し、頭皮への血流が悪化します。

さらに、自律神経の乱れは皮脂の過剰分泌を引き起こし、頭皮環境を悪化させる要因となります。

趣味の時間を持つ、適度な運動をする、湯船にゆっくり浸かるなど、自分なりのリラックス方法を見つけ、ストレスを溜め込まない生活を心がけることが大切です。

髪とホルモンのための栄養素

栄養素多く含む食品期待される役割
亜鉛牡蠣、牛肉、レバー、カシューナッツケラチン合成、5αリダクターゼ抑制の可能性
イソフラボン納豆、豆腐、豆乳女性ホルモン様作用によるバランス調整
ビタミンB群豚肉、カツオ、マグロ、バナナ皮脂分泌のコントロール、代謝促進
ビタミンEアーモンド、アボカド、うなぎ血行促進、抗酸化作用による老化防止

Q&A

オナニーをするとハゲるというのは本当ですか?

医学的に見て、自慰行為が直接的にAGAの原因になるという根拠はありません。

射精によってテストステロンが一時的に変動することはありますが、それが恒久的なDHTの増加や毛根へのダメージにつながるとは考えにくいです。

このような俗説を気にしてストレスを溜めることの方が、髪にとっては良くありません。

体毛が濃い人はハゲやすいと言われるのはなぜですか?

これはDHTの作用が部位によって異なるためです。

DHTは頭髪に対しては脱毛シグナルとして働きますが、髭や胸毛などの体毛に対しては成長促進シグナルとして働きます。

つまり、DHTの影響を受けやすい(変換効率が高い、または受容体の感度が高い)体質の人は、結果として「体毛は濃いが頭髪は薄い」という状態になりやすいため、このような傾向が見られることがあります。

テストステロン値を下げることで薄毛は治りますか?

テストステロン自体を下げてしまうと、筋力低下、性機能障害、鬱症状、更年期障害のような全身の不調を招くリスクがあり、健康上のデメリットが大きすぎます。

AGA治療の目的は、テストステロンを減らすことではなく、テストステロンがDHTに変わるのを防ぐことにあります。

健康維持に必要なテストステロンは保ちつつ、悪玉化だけを阻止するのが正しいアプローチです。

治療を途中でやめると一気にリバウンドしますか?

AGA治療薬(フィナステリドやデュタステリド)の服用を中止すると、抑えられていた5αリダクターゼの働きが元に戻り、再びDHTが生成され始めます。

その結果、ヘアサイクルが再び短縮され、治療によって維持・改善されていた髪が抜け落ち、治療前の状態に戻る、あるいは年齢相応の薄毛の状態まで進行することが予想されます。

そのため、治療は継続することが重要です。

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